施設基準はどんなものがあるの?

歯科・矯正歯科・口腔外科・小児歯科の標榜を掲げている診療所および病院には必ず施設基準の届けてを出している。(出していなければ闇歯科医院となる)
ここでは施設基準とは何か、施設基準で重要なのは何か説明していこうと思う施設基準には基本診療の施設基準と特掲(とっけい)診療料の施設基準がある
以下↓たくさんあるが全部覚える必要はない(太字は重要)

【追記】この記事は令和3年度の資料をもとに書いていたが、令和6年度改定で名称が大きく変わったので、ここからは令和8年度(2026年度)改定時点の名称・内容に合わせて書き直す。「外来環」も「か強診」ももう古い呼び方になった。

そもそも施設基準とは何か

施設基準とは、ざっくり言うと「この設備・人員・実績があるなら、その分の点数を余分にもらっていいですよ」という保険診療上のルールのこと。地方厚生局に届出をして受理されないと、いくら実際に頑張って設備を揃えても点数は算定できない。つまり「やってるだけ」では金にならず、「届けてはじめて」金になる制度である。ここが一番大事。

基本診療料の施設基準等

  • 歯科外来診療医療安全対策加算1・2(外安全1・2)
    旧「歯科外来診療環境体制加算(外来環)」の医療安全部分が独立したもの。偶発症・急変時に対応できる常勤歯科医師の配置、年1回以上の院内研修実績、AED・パルスオキシメーター・酸素供給装置・血圧計・救急蘇生セットなどの救急対応機器の常備が主な要件。
  • 歯科外来診療感染対策加算1・2(外感染1・2)
    同じく「外来環」から独立した感染対策部分。歯科用吸引装置(口腔外バキューム等)でユニットごとに飛散物を回収できる環境、滅菌機器の設置、院内感染対策マニュアルの整備が主な要件。
  • 地域歯科診療支援病院歯科初診料
    地域の診療所からの紹介患者を受け入れる体制を持つ病院向けの初診料区分。
  • 歯科診療特別対応連携加算
    全身麻酔下でしか治療できない患者などを、他院と連携して診られる体制の評価。

特掲診療料の施設基準等

  • 歯科疾患管理料の注11(総合医療管理加算)・歯科治療時医療管理料
    糖尿病や抗血栓薬服用など全身疾患を持つ患者を、内科等と連携しながら管理して治療する場合の評価。
  • 医療機器安全管理料(歯科)
    CT等の医療機器を安全に管理・保守点検する体制があることの評価。
  • 口腔管理体制強化加算(口管強)
    旧「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」。乳幼児期から高齢期まで生涯を通じて口腔管理を行う「かかりつけ医」としての機能を評価する加算で、要件が細かい。主なものだけでも
    • 歯科医師複数名、または歯科医師+歯科衛生士各1名以上の配置
    • 過去1年間に歯周病治療30回以上、エナメル質初期う蝕管理等12回以上の実績
    • 歯科疾患管理料・口腔機能管理関連の算定が過去1年で12回以上
    • 訪問診療の実績(年5回以上)または体制確保
    • 診療情報提供料を年5回以上算定
    • 重症化予防・高齢者や小児対応・緊急時対応に関する研修修了者の配置
    • 他院との緊急時連携体制、AED等の救急設備、歯科用吸引装置の完備

    というように、単なる設備投資では届出できず「実績」がないと通らないのが厄介なところ。

  • 在宅療養支援歯科診療所1・2(歯援診1・歯援診2)
    在宅・施設への訪問診療を主体的に行う診療所の評価。歯援診2の場合、過去1年間に歯科訪問診療1・2を合計4回以上算定、高齢者対応(認知症を含む)研修を修了した常勤歯科医師の配置、歯科衛生士の配置(非常勤可)、担当医・緊急時対応の文書提供、後方支援医療機関との連携などが要件になる。
  • 歯科訪問診療料の注13に規定する基準(在宅歯科医療推進加算 等)
  • 有床義歯咀嚼機能検査、咀嚼能力検査及び咬合圧検査/精密触覚機能検査/睡眠時歯科筋電図検査
  • 歯科画像診断管理加算1・2、遠隔画像診断
  • 歯科口腔リハビリテーション料2
  • 口腔粘膜処置、口腔粘膜血管腫凝固術、レーザー機器加算、手術用顕微鏡加算、う蝕歯無痛的窩洞形成加算
  • CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー
    光学印象装置(口腔内スキャナー)等のデジタル機材の保有や、歯科補綴治療について一定年数以上の経験を持つ歯科医師の配置が要件。令和8年度改定では大臼歯の咬合支持要件も見直されている。
  • クラウン・ブリッジ維持管理料
    補綴装置が2年以内に脱離・破損した場合、原則として再製作・修理を無償で行う代わりに、通常より高い点数で製作できる仕組み。届出をしていない医院は、その分点数が低くなる。
  • 手術時歯根面レーザー応用加算の施設基準、歯科技工加算1・2
  • 上顎骨形成術(骨移動を伴う場合に限る)、下顎骨形成術(骨移動を伴う場合に限る)
  • 歯周組織再生誘導手術、広範囲顎骨支持型装置埋入手術、顎関節人工関節全置換術
  • 歯根端切除手術の注3、歯科麻酔管理料、口腔病理診断管理加算1・2
  • 歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料(顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前後における歯科矯正に係るもの)

令和6年度診療報酬改定の概要【歯科】:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251542.pdf

各地方厚生局 施設基準の届出案内(最新の要件は必ずここで確認すること)

厚生労働省保険局医療課

まとめ

正直ここに挙げたもの全部を最初から揃えようとすると心が折れる。開業したてなら、まずは外安全・外感染(旧外来環)くらいは最低ラインとして押さえて、余力が出てきたら口管強歯援診CAD/CAM冠クラウン・ブリッジ維持管理料と広げていくのが現実的だと思う。診療報酬は2年に1度改定されて名前も要件もコロコロ変わるので(現に「外来環」も「か強診」ももう存在しない)、この記事も数年後にはまた古くなっているはずである。届出前には必ず自分の地域を管轄する地方厚生局の最新情報を確認すること。

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